静穏総長も、時には激しく愛したい

澄から飴を受け取り「ふふ」と笑う。

すると……なんと澄が、私の手から再び飴を奪った。


シュバッ



「お心遣いありがとうございます。ですが、見知らぬ人から頂いた物を食べさせるわけにはいかないので。お気持ちだけ、ありがたく頂きます」

「えぇ~!?」
「もう、澄!」



「返して!」と。ぴょんぴょんジャンプする私を、澄はツーンとした態度でスルー。



「澄、帰ったらタダじゃおかないからね!」

「わー。コワーイ」

「こら澄!」



ってか、こんな家の中みたいな光景を、いつまでもお見せするわけにいかない!

さっさと退散するに限る!



「ありがとうございました!
それでは!」



もう会うことはないだろうな――そう思って挨拶をする。

だけど、



「うん。”また”ね」



白い服の人は、意味深に、そう言った。
< 87 / 315 >

この作品をシェア

pagetop