静穏総長も、時には激しく愛したい

「他のお見合い写真の人とは、見る限り歳が合わないしね。それに……」



――ナンパじゃないよ。その子が、なんだか悲しそうな顔してたからね



「悪い人ではないって、そう思うんだ」

「お嬢様……」



あの時、一目見ただけで、私の事を理解してくれた。

そしてハートの飴を渡してくれた。きっと優しい人に違いないって、そう思いたい。



「お見合いをするなら、この人がいい」

「……かしこまりました。もう旦那様にはご報告を?」

「うん、任せていい?」

「…………はい」



パタン


深々と頭を下げて、澄は写真を持って退室した。

天下の若桜グループの娘である私が「この人と見合いする」と決めた。イコール、その人と結婚が決まったようなもの。

私は、純白純弥さんとお見合いして……結婚するんだ。
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