静穏総長も、時には激しく愛したい

――なんでって、澪音が見えたから

――”すみ”って誰?

――男なの?



あんなくすぐったい事を言われて。

もしかして私の事を好き?なんて、勘違いしそうになる甘い言葉を聞いて。平常心でいられるワケがない。

もしも私が普通の子なら、嬉しくて嬉しくて……舞い上がってただろうな。


だけど、諦めないといけないんだ。


私は、奏さんに不釣り合いな女の子だから。奏さんとは、本当にお別れをしないと――――


コンコン



「お嬢様、澄です。先ほど、旦那様にお見合いの事をお話ししてきました」

「そっか……ありがとう、澄」

「……」

「澄?」



入ってくればいいのに、澄は一向に入る気配がない。

どうしたのかな?
何か他に用事があるとか?


そんな事を思っていると――

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