静穏総長も、時には激しく愛したい
*奏*
*奏*
あの日から、澪音の様子がおかしい。
――し、失礼しました……!
教室に連れ込んで二人きりになって、澪音は喜ぶかと思いきや。俺の顔を見て、澪音は正反対の反応を見せた。
――奏さん、やっぱイイですね
そんな事を、幸せそうな顔で言っていたのに。
「すみ」という名前を出した瞬間に、顔色が変わった。そして逃げるように、俺の前から姿を消した。
「何か、隠してる……」
ひょっとして”すみ”って奴が、何か絡んでる?
まさか暴走族のアレコレに巻き込まれてるとか?
俺に心配かけまいと、一人でなんとかしようとしてるとか?
「……どれもありえる」
いつもウルサイくらいの澪音が、
いつも「奏さん」と連発する澪音が、
全く俺に構わなくなった……なんて。
何か理由があるに違いない。理由もなしに、俺を避ける澪音ではない……と思う。