メガネむすめ
九月二十二日

 早瀬君の絵は、一種の魔法のようなものかもしれない。午前中に早瀬君の誘いもあり、美術室で絵を鑑賞することにした。どの絵も上手いのだが、早瀬君の絵は異彩を放っていた気がする。早瀬君の絵の前では誰もが足を止め、そしていつしか人だかりになっていた。
 私は暫く絵を眺めていたが、展示している絵の中に私がモデルとなっている絵があり、こちらに強い視線が集まり始め、最終的には質問責めを受けた。それを回避する為に、「放課後に校門で」と早瀬君に告げて美術室を抜け出した。
 その後は学園祭の喧騒を避けて移動を続け、静かな方へ静かな方へと移動している内に、お爺さんのいる事務室に着て、日が暮れるまでそこで本を読み、お爺さんに別れを告げて早瀬君と一緒に帰った。
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