メガネむすめ
九月二十五日

 今日は学園祭の片付けだけで終わるはずだったが……午前中までには終わってしまった。例年は片付けに来る人はクラスの半分以下だが、今年は何故かクラスの全員が片付けに協力してくれたからだ。そして何故か里美が先陣を切って指示を繰り出し、予想外の速さで終わってしまった。
 私がゴミの分別など、細かいことをしていると、クラスメイトが口々に「その辺は俺たちがやっとくからさ、楽しんでよ」「最後に良い思い出作りなよ」「まさか早瀬とくっ付いてるとはね、驚いたよ」というニュアンスのことを言われた。どうやら、里美がいつの間にか根回しをしていたらしい。最初は恥ずかしさ故に里美を心底恨んだが、今日早瀬君と過ごせた時間のことを考えると感謝すべきなのだろう。
 上記で述べたように午前中に片付けは終わり、午後からはずっと早瀬君と過ごした。この一緒にいれる時間は、私と早瀬君だけではありえなかっただろう。いや、正確には一緒にいることさえ里美が関わってくれた。
 里美とは一生親友で在りたい。里美が困っている時は私が助けたい。二度とは戻って来ないこの時に、一生分の感謝を捧げたい。
 ということで、来月いっぱいまで勉強を教えないことにしていたが、今月いっぱいまでに変更することにする。
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