メガネむすめ
七月十七日

 今日は五時に目が覚めた。理由は、心拍数が異常数値を示し体温も普通より増している為だろう。だが、これは間接的要因であり直接的な理由は異なる。
 早瀬君と久し振りにデートが出来るからだ。私は里美に選んで貰った服を来てベッドの上で二時間程正座をしていた。途中からジョニーと予行演習をしていたのだが、お母さんにその光景を見られてしまった。
 私は布団に潜って泣いた。そしたら、お母さんが小さな貝殻が付いた布製の腕輪を持って来てくれた。それを私にくれた後、「頑張って!」と言うと同時に親指を立てた。
 私は腕輪を眺めて、小さく親指を立てた。
 暫くその腕輪を眺めていたのだが、不意に時計に目が行き、約束の時刻に一時間以上遅れていることに気付いた。急いで走って、何回か倒れそうになりながら早瀬君のいるはずの場所に行くと、早瀬君はいなかった。
 帰っちゃったのか。
 直感的にそう悟り、空を眺めていると、視界にペンギンが飛び込んできた。そのペンギンは「どうしました?」と心配そうに声をかけてくれた。私は「久し振りのデートなのに、私の不注意で一時間も遅刻してしまい、ある人を怒らせてしまいました」と言うと、ペンギンは体を揺らしながら「じゃあ僕と一緒にデートしようよ」とデートに誘ってくれた。私はちょっと戸惑ってから、「怒って、いるよね?」と聞いたら、ペンギンは「ちょっとだけ心配したよ」と言ってすぐ「……嘘、実は俺もちょっと遅刻しちゃったからさ、これはお詫び」と言ってペンギンを渡してくれた。
 その後は、ペンギンと早瀬君と一緒にデートを楽しんだ。そのペンギンは私の枕元にいる。今思えばこのペンギンはプレゼントなのだろうか。
 そうでなくとも、嬉しい。
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