メガネむすめ
八月七日

 お母さんからは連絡なし。お父さんは変化なし。
 かなり不安になり、里美に連絡したら泊めてくれることになった。
 家には置き手紙と、お母さんの実家に連絡を入れて今に至る。
 里美の両親はとても優しかった。見ず知らずの私を快く受け入れてくれて、部屋を一つ貸してくれた。
 夜になって、里美のお父さんが「そういえば今日は旧暦の七夕だったな」と呟き、急遽ではあるが短冊を書くことになった。
 今回も「家内安全」にした。お母さんとお父さんが早く仲直りしてくれることを願って書いた。
 短冊を書き終え、笹の葉の代用である観葉植物に短冊をくくりつけて夕食を頂くことになった。メニューは、ご飯、味噌汁、焼き魚、白菜の和え物、デザートは羊羹だった。
 和風仕立てだが個性的な味わいと、発生源不明のカレーの香がするなど、一度味わったら忘れようもない程の夕食だった。
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