冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 鼻にかかった甘い吐息がこぼれる。彼のキスは首筋をのぼってきて蛍の耳を軽く食む。

「ひゃっ、あ」

 ざらりとした舌で耳孔をくすぐられ、膝の力が抜けていく。左京は蛍の身体を優しく支えつつ攻撃の手は緩めない。

「蛍の弱いところ、ゆうべたっぷり教えてもらったしな」

 今度は唇に甘いキス。角度を変えながら少しずつ深くなっていく。吐息に眼差し、あふれんばかりの左京の色気に酔わされてしまって蛍の頭は真っ白だ。唇が離れてもポーッとほうけたような顔をしていたら彼がふっと笑った。

「がっついている自覚はあるんだが、蛍があまりにも俺を煽るから……止めらない」
「えぇ、煽ってなんか」
「いるだろ。その表情も声も、全部俺のものにしたい」

 貪るようなキスが繰り返される。左京はゆうべより少し荒々しくて、でもちっとも嫌じゃない。むしろキスだけじゃ足りなくて、もどかしい。

「左京さん。もっとっ」

 思わず言葉にしてしまって、蛍はハッとする。込みあげる羞恥に顔が真っ赤になった。

「あ、えっと今のは……」
「ほら。蛍が全力でアクセルを踏むから、もうストップは不可能だな」

 左京は楽しそうに笑って蛍を抱きあげる。そのままベッドに運ばれ、ゆうべよりさらに情熱的に愛されてしまった。
 





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