冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
「でも私……自慢じゃないけど、過去も現在も男の人とはいっさい交流がないし。女友達だって美理しかいない。そんな私に誰がストーカーするのかな?」

 相談した交番でも似たようなことを聞かれたが、ピンと来ないのだ。

「自覚ないかもしれないけど! 蛍は地味な服を着てても、美人なの隠せてないから。おかしな男を引き寄せるのは全然不思議じゃないよ」

 それから美理はちょっとあきれたように頬を緩めた。

「素敵な恋人でも作ればいいのに。それに友達も! まぁ、私が唯一の友達って悪い気はしないけどさぁ」
「恋人……」

 口にしてみても、どうにも他人事としか思えない響きだ。

「私はいつでも駆けつけられる距離じゃなくなっちゃったし、信頼できる素敵な人が蛍の恋人になってくれたら嬉しいけどな」
「ありがとう。考えてみる」

 美理を安心させたくてそんなふうに答えたけど、内心では無理だろうなと苦笑いをしていた。美理との友情は信じているけれど……。

(男女の愛はわからない。信じられない)

< 14 / 219 >

この作品をシェア

pagetop