冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
蛍がマンションの通りに出ると、ちょうど晋也の黒いSUVがハイスピードで滑り込んできた。運転席から彼が出てくる。
「左京さんが大変っていったいなにが? 彼は無事なんでしょうか」
「いいから。早く乗ってください」
彼らしくない硬い声。青ざめた晋也の顔に、拭えない違和感を覚えた。
(如月さん、なにか変じゃない? そもそも車が到着するのが早すぎるような……電話のタイミングも菅井家の運転手さんが離れるのをうかがっていたみたい)
「如月さん、もう少し説明を……」
晋也は蛍にとって兄のような存在だ。無関心な海堂家とは違い、彼だけは蛍を心配し世話を焼いてくれた。ちょっとした悩みを聞いてもらったこともある。そんな彼が自分に害をなすとは考えたくない。
だが、蛍の祈るような思いはイラ立ちを隠さない舌打ちに踏みにじられた。
「うるさい、おとなしくしていろ」
晋也は蛍の腕を強引に引っ張り、車の後部座席に押し込んだ。
両手を後ろで拘束され、声を封じるために口は布のようなもので縛られる。後部座席はスモークガラスになっているので蛍の状況は周囲からは見えない。助けは期待できないだろう。
「左京さんが大変っていったいなにが? 彼は無事なんでしょうか」
「いいから。早く乗ってください」
彼らしくない硬い声。青ざめた晋也の顔に、拭えない違和感を覚えた。
(如月さん、なにか変じゃない? そもそも車が到着するのが早すぎるような……電話のタイミングも菅井家の運転手さんが離れるのをうかがっていたみたい)
「如月さん、もう少し説明を……」
晋也は蛍にとって兄のような存在だ。無関心な海堂家とは違い、彼だけは蛍を心配し世話を焼いてくれた。ちょっとした悩みを聞いてもらったこともある。そんな彼が自分に害をなすとは考えたくない。
だが、蛍の祈るような思いはイラ立ちを隠さない舌打ちに踏みにじられた。
「うるさい、おとなしくしていろ」
晋也は蛍の腕を強引に引っ張り、車の後部座席に押し込んだ。
両手を後ろで拘束され、声を封じるために口は布のようなもので縛られる。後部座席はスモークガラスになっているので蛍の状況は周囲からは見えない。助けは期待できないだろう。