冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
七章 もう一度夫婦に
七章 もう一度夫婦に


 左京の頭のなかにけたましい警鐘音が鳴り響く。似顔絵の人物によく似た男をひとり、知っていた。蛍のすぐそばにいて、彼女の信頼を得ている人物だ。

 似顔絵の男が彼である確証はない。だが警察官としてつちかってきた勘が間違いないと主張している。

「菅井さん? どうかしたんすか」

 島はキョトンとした顔をしていた。

「その似顔絵の男は、海堂治郎の私設秘書かもしれない」
「えぇ?」

 空気が一気に緊張感を増した。島の表情も敏腕刑事のそれに変わる。

 左京の頭が高速で回りはじめる。

(赤霧会と如月晋也、違法賭博の規制。犬伏の目的はなんだ? どう動こうとしている?)

「海堂治郎の秘書と赤霧会が繋がっているかもしれない……ということは」

 島の言葉を左京が引き継ぐ。

「危険なのは、やはり海堂治郎の関係者だ」

 明言しなかったが、左京は赤霧会のターゲットは蛍だろうと踏んでいる。晋也がもっとも狙いやすいのが彼女だからだ。

(考えるんだ。さっさとしないと蛍が……)

 電話に出られなかったのは仕事中だからかもしれない。でもそうでなかったら?
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