冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 左京は自身の頬にある蛍の手をギュッと強く握り、泣き出しそうな顔で笑った。

「あぁ。俺たちは本当に気が合う。だから間違いなく、いい夫婦になれる」
「――はい」

 信じていなかった愛を知り、ふたりはもう一度夫婦となった。今度は偽りじゃない、深い愛で結ばれた夫婦に。


 極度の緊張と解放された安堵感から蛍はそのまま意識を失ってしまった。

 目覚めたのは自宅マンションのベッドの上で、事件から丸一日が経過していた。

(そんなにずっと眠っていたんだ)

「目覚めてくれてよかった」

 ベッドサイドにずっとついていてくれたらしい左京はホッと息を吐く。

「ご心配をおかけしてすみません。左京さん、お仕事は大丈夫ですか?」

 蛍にはよくわからないが、結構大きな事件だったのだろうから事後処理が大変なんじゃないだろうか。

「どうしても妻のそばにいたいと頭をさげてきた。今は蛍と一緒にいたい」

 彼の大きな手が布団の上に置いた蛍の手を包む。

「ありがとうございます」
「体調に異変はないか。身体だけじゃなく精神面も」

 少し考え蛍はゆっくりと首を横に振った。

「今のところは問題なさそうです」
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