冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 腕を回したり首を動かしたりしてみる。痛むところもないし、よく寝たせいか頭もすっきりとしていた。

(しいて言えば倉庫街には一生近づきたくないけれど)

「犬伏たちは逮捕されたよ。あいつらはすぐに出てこられると甘いことを考えているようだが、警察はこれを機に赤霧会を完全壊滅に追い込むつもりだ。もう手出しはさせないから、そこは安心してくれ」

 左京は仕事をまっとうできたということだろうか。

「あの、如月さんは? なぜ彼らと行動をともに?」

 彼がなぜ犬伏に協力していたのかその理由が気になる。

 左京は順を追って今回の件の顛末を説明してくれた。

「まず、犬伏が海堂家を狙った動機だがやはり違法賭博の規制強化が発端だった」

 治郎が賛成派のリーダー格だったからそれを恨みに思ったのだろう。

「当初は君の腹違いの弟である海堂要治(ようじ)を狙いたかったようだが、彼はもう海堂治郎事務所の人間として仕事を始めていたからガードも堅い」
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