冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
「そういえば如月さん、車を買い替えていたんですよね。海外メーカーの高級車から国産車に」

 憧れてやっと手にした車と言っていたのに妙だと思ったのだ。

「金策に困って借金取りに追いつめられていたようだから。外車を売って適当な中古車に変更することで金を作ったんだろうな。車を手放すほど金に困っているとは思われたくなかっただろうし」
「借金が発覚したら犯罪もバレてしまう恐れがありますもんね。この如月さんの秘密を犬伏が知ったわけですね?」
「そう。オンラインカジノの元締めも借金取りも赤霧会の傘下団体だったんだ。だから犬伏は如月の犯罪の証拠をがっちりつかむことができた」

 左京はそこで深呼吸をひとつする。

 蛍もふぅと息を吐いた。推理小説の登場人物になったような気分だ。左京の話についていくので精いっぱい。

「如月本人は脅迫したところで払える金がない。私設秘書の犯罪程度は海堂治郎に言うことをきかせるカードとしては弱すぎる。そこで犬伏は如月を使って蛍を人質にすることを考えた」
「如月さん、本当は私を海外に連れていく計画だったと言っていました」
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