冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
「午後三時か。久しぶりのデートだから夕食はホテルのレストランを予約しているが、それにはだいぶ早いな。どこか行きたいところは?」
「ふふ。赤霧会に狙われる心配がないからどこへでも行けますね」

 左京と一緒ならどこへ行っても楽しいとわかっているけれど、行き先を考えるだけでワクワクして頬が緩む。

「あぁ。映画を観てもいいし水族館や遊園地でもいいぞ」
「あ、じゃあショッピングで!」
「了解。なにか買いたいものがあるのか?」

 聞かれて、少し照れながら蛍は答える。

「もしよかったらなんですけど、左京さんに指輪を贈りたいなと思っていて」
「指輪? 俺に?」

 想定外だったようだ、左京は目を丸くしている。

 蛍は自身の左手に視線を落としながら言う。

「この指輪、結婚指輪だって言ってくれましたよね。それなら左京さんにもつけてほしいなって。本当はもらったときから思っていたんです。でもあのときはまだ私たちは期間限定かもって不安があったから言い出せなくて」

 蛍の言葉を聞いた左京は心底幸せそうに甘く笑む。

「そんなふうに思ってくれていたのか」
「はい」
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