冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
「いや、違うよ。これは俺の個人的な買いもの。蛍に似合いそうなネックレスを見つけたから」
「私にですか? ダメですよ、今日は左京さんの指輪をっ」

 蛍の反論を左京は甘い笑みで制する。

「これをつけた蛍を俺が見たい。だから買ったんだ」
「でも、今日のワンピースも左京さんからいただいたものですし」

 蛍は自身の来ている服に目を落とす。大人っぽい花柄のワンピースは入手困難と話題になっている人気デザイナーのもので、誕生日でもなんでもないのに左京がプレセントしてくれたのだ。

「最近の左京さんは私に甘すぎます……」

 困った顔で蛍がつぶやくと、彼は「ははっ」と声をあげて笑った。

「いいんだよ。蛍のそういう顔を見るのが、今の俺にとっては一番の楽しみだから」

 大きな手に腰を抱かれ、スッと彼の顔が近づく。

「それに、お礼は今夜たっぷりともらうつもりだから」

 とろけるような声音と鼻をくすぐる彼の香り。蛍の全身が熱くなって、心臓が爆発しそうになる。

「期待してるよ」

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