冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 迷ったすえに彼の指輪は蛍と同じブランド、仕事中も気兼ねなくつけていられるシンプルなものを選んだ。

 内側に蛍からのメッセージを入れてもらうことにしたので、受け取りはひと月後だ。

 蛍が店員とそれらのやり取りをしている間に左京はさらにイヤリングまで買い足していた。もちろん自分のではなく蛍のだ。

(衝動買いをするようなお店ではないと思うんだけどな)

 だけど彼とまったく同じで、蛍も今は左京の幸せそうな様子を見ていられることがなによりの楽しみに感じる。

(新婚だし、ちょっとくらいいいよね)

 恥ずかしさなんて捨ててしまって、思いきりラブラブ期間を満喫してしまえ。そんな気持ちでいる。

 夕食は六本木のラグジュアリーホテル、最上階に入っている日本料理店を左京が予約していてくれた。

 目の前の鉄板を使ってシェフが肉や海鮮を調理してくれる。その音と匂いに食欲を刺激された。

「わぁ、おいしそう」
「いつも忙しくて、なかなか外食もできなくて悪いな」
「そんなこと気にしないでください」
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