冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
 舌たらずの甘えた声で彼女は続ける。

「だって、大園さんの成績あってのうちの会社ですから。私たちはサポートするのがお仕事ですもん!」

 たしかに総務や経理は全社のサポート部門ではあるが、それは必要な役割分担であって自分たちを下に置く必要はないはずだ。蛍はちょっと鼻白んだが、大園はかなり気をよくしたようだ。

「やっぱり仕事のできる子は会社ってもんをよくわかってるよね。それに比べて……」

 彼は冷たい目で蛍を一瞥する。

「せめてもう少し愛想よくできないわけ? 大槻さん、顔は綺麗だけどそれだけだよね」
「ひどーい」

 言葉とは裏腹に唯は満面の笑みを浮かべている。ネイルを気にして仕事が遅れるなら落とせばいい。以前そう言ったことを根に持たれているようで、彼女にはずっと嫌われている。大園が去ったあとで、唯が蛍に含みのある目を向けてきた。

「あの、あとから知るほうがきっとショックを受けると思うので、心苦しいけどお伝えしておきますね」
「なんの話?」

 もったいぶるよう口ぶりで周囲の注目を引きつけてから、彼女は言う。

「実は来週、うちと営業部の若手社員で懇親会を企画しているんですけど……」
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