冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
ランチがひとりぼっちでも懇親会に誘われなくても、今の仕事に大きな支障は出ない。
(やっぱり私にはこの部署が天職かも)
あらためて人事に感謝して、蛍はまたパソコンに向き直った。
京都ひとり旅から東京に帰ってきて、もう一週間が過ぎている。あの彼から『尾行されている』と聞かされたときは驚き恐怖を感じたが……こうして日常に戻ってしまうと、あんなに真剣に怖がって新幹線の時間を変更までした自分がやや滑稽に思えてくる。
(新幹線のなかも東京駅でも、何度も確認したけどあのカップルの姿はなかった。やっぱり人違いか、あの彼が勘繰りすぎたんだわ)
東京に戻ってすぐ美理に電話で相談したのだが、彼女は心配しつつも現実的な意見をくれた。
『まぁ、実際にはなんでもないオチだったなんてことはよくあるよね。実は蛍がそのカップルの友人によく似ていて、本人かどうか確かめたくて見ていた……とかさ』
美理の推理はかぎりなく真実に近い気がした。平凡なOLの日常にミステリードラマのような展開はまず訪れないだろう。
それから蛍はふと、美理のもうひとつの推理を思い出す。
(やっぱり私にはこの部署が天職かも)
あらためて人事に感謝して、蛍はまたパソコンに向き直った。
京都ひとり旅から東京に帰ってきて、もう一週間が過ぎている。あの彼から『尾行されている』と聞かされたときは驚き恐怖を感じたが……こうして日常に戻ってしまうと、あんなに真剣に怖がって新幹線の時間を変更までした自分がやや滑稽に思えてくる。
(新幹線のなかも東京駅でも、何度も確認したけどあのカップルの姿はなかった。やっぱり人違いか、あの彼が勘繰りすぎたんだわ)
東京に戻ってすぐ美理に電話で相談したのだが、彼女は心配しつつも現実的な意見をくれた。
『まぁ、実際にはなんでもないオチだったなんてことはよくあるよね。実は蛍がそのカップルの友人によく似ていて、本人かどうか確かめたくて見ていた……とかさ』
美理の推理はかぎりなく真実に近い気がした。平凡なOLの日常にミステリードラマのような展開はまず訪れないだろう。
それから蛍はふと、美理のもうひとつの推理を思い出す。