冷血警視正は孤独な令嬢を溺愛で娶り満たす
「いや、俺は今日で認識を改めました。さっき会った瞬間にも、菅井さんの雰囲気が柔らかくなったなと感じてはいたんですよ。おまけにその顔! 菅井さんは案外と新妻に夢中らしいとみんなに話しておきますから」
「……余計なことを言うな、頼むから」

 夢中かどうかは自分でもわからないが、蛍が絡むと余裕がなくなるのは事実だった。今も適当にごまかせばいいものをうまい言葉が出てこない。

 そんな左京が島には楽しくてならないらしい。

「『青い血の流れる男、菅井』も普通の男だったんですね~。いつか絶対、奥さん紹介してくださいよ!」

 左京はいぶかしげな表情で島を見る。

「なんだ、その青い血ってのは……」
「組対での菅井さんのふたつ名です。人間らしい感情がかけらも感じられないので、青い血! ぴったりでしょう」

 左京はあきれてため息をつく。

「誰がつけたんだ、そんなあだ名」
「はーい」

 悪びれもせずに、島が片手をあげる。左京の額に青筋が浮いた。

「お前、自分は『星』とかいういいあだ名をもらってるくせに……」
「俺が『ノンキャリの星』なのは、ただの事実ですから!」

 その後はどうでもいい話に終始した。
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