スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
 肩を抱いていた彼の手が、服の上からそっと全身を這っていく。優しく触れる指先が心地良い。
 もっともっと、この人が欲しい。
「貴博さん、電気」
「ん?」
「消してください。そしたら」
 布越しの愛撫じゃ足りない。今日の服装が露ほども色気のないティーシャツとジーンズをだったこともあり、さっさと脱いでしまいたかった。
 ……あれ、私はなんとはしたないおねだりをしているだろう?
「嫌だ」
「……え?」
「全部くれるんだろ? 今日は消さない」
 意地悪く笑う貴博さんのどこが恋愛初心者なのだろうか。
 煌々と明かりが降り注ぐ中、シャツはやすやすと脱がされてしまい、ジーンズのホックにも手がかかる。
「ちょっと、貴博さん……」
 躊躇する私を見た彼は先に自らの衣服を脱ぎ捨てる。一糸まとわぬ姿になった貴博さんに再度抱きしめられ、数え切れないほどのキスを浴びるとなけなしの羞恥心はあっさりと敗北を認めた。
 曝け出された胸のふくらみに彼の手が触れ、ゾクゾクと身体の奥がうずく。更に先端をつままれ、全身に電気が走った。
「ああん」
 思わず声を漏らすと、彼はその先端を口に含み軽く歯を立てた。甘噛みに舌での愛撫も加わり、あまりの気持ち良さに、もう傍目にも分かるくらい震えてしまう。
 直接触れ合う快感と誘惑に、抗えるわけがない。
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