スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
本来であれば四つの品を用意するところ、一つに集約して美味しいところを全て持っていく。この図々しさこそ劇団カフェオレの衣装係だ。
「本当はウェディングドレスを作りたかったんですけど。さすがにやめとけって勇也さんに止められてしまいました」
「当然だろう。ササメの御曹司の結婚式に、手作りのウェディングドレスなんか」
「なんかって言われるほど安っぽい作りにはしませんよ。貴博さんがオーケー出してくれれば、予算も使い放題だったはずですし」
冷静に考えるとすごいことを言っているが、奈央子の感覚も理解できてしまう自分がちょっと怖い。
「実は私も、貴博さんから呆れられたんだよね。深雪の周りの人間は、何でも自前で済まそうとするよなって」
「周りの人間?」
「ほら。ウチの父親、パティシエでしょ?」
どうやら娘の結婚式に、ウェディングケーキを作りたかったようなのだ。気持ちは分かると奈央子が激しく首を縦に振る。
「だけどササメといえばお菓子業界のドンじゃない。さすがにその御曹司の結婚式で、一介のパティシエがウェディングケーキを作れるわけがないというか」
それでも一応プロなのだし、家族からのメッセージが入る分には良かろうと、プレートの一部を担当させてあげることができた。
「本当はウェディングドレスを作りたかったんですけど。さすがにやめとけって勇也さんに止められてしまいました」
「当然だろう。ササメの御曹司の結婚式に、手作りのウェディングドレスなんか」
「なんかって言われるほど安っぽい作りにはしませんよ。貴博さんがオーケー出してくれれば、予算も使い放題だったはずですし」
冷静に考えるとすごいことを言っているが、奈央子の感覚も理解できてしまう自分がちょっと怖い。
「実は私も、貴博さんから呆れられたんだよね。深雪の周りの人間は、何でも自前で済まそうとするよなって」
「周りの人間?」
「ほら。ウチの父親、パティシエでしょ?」
どうやら娘の結婚式に、ウェディングケーキを作りたかったようなのだ。気持ちは分かると奈央子が激しく首を縦に振る。
「だけどササメといえばお菓子業界のドンじゃない。さすがにその御曹司の結婚式で、一介のパティシエがウェディングケーキを作れるわけがないというか」
それでも一応プロなのだし、家族からのメッセージが入る分には良かろうと、プレートの一部を担当させてあげることができた。