スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
そんな未来、勝手にシミュレーションしないでほしい。
「だからたぶん、奈央子の方が勘違いしてるんだと思う」
「はい?」
今度は奈央子が怪訝な表情を見せる。
「俺は深雪と一緒にいい作品を作りたいのであって、恋愛感情はない。だから深雪がパトロンを捕まえてくれたのは、俺にとっても僥倖なんだ」
「ええ? それ絶対自分に言い訳してるやつじゃないですか」
恋愛至上主義の彼女が突っ掛かっても、彼は表情を変えなかった。
「別に奈央子が疑う分には構わないさ。俺も自分が深雪のこと好きだと思い込んでた時期はあるし」
「そうなんですか!?」
思わず聞き返すと、隣に座る後輩に「だから言ったじゃないですか」と小突かれた。
「でも突き詰めて考えた結果、俺にとって問題なのは深雪にパートナーができたことじゃなくて、そのパートナーから疑われたり、疑われなくても嫉妬されたりして舞台が作れなくなることだった」
なるほど。男女の友情が成立するのかという議論がいつまで経っても終わらないのは、二人の間で友情が成立した後も周囲がやんや言い続けるからなのだろう。
「だったら貴博くんがウィンウィンで結婚を考えたように、いっそのこと友情結婚みたいな感覚で公私共々相棒になれるか考えてみたんだけど……無理だな」
「さっきから何で私、勝手にシミュレートされて勝手に振られてるんですか?」
「だからたぶん、奈央子の方が勘違いしてるんだと思う」
「はい?」
今度は奈央子が怪訝な表情を見せる。
「俺は深雪と一緒にいい作品を作りたいのであって、恋愛感情はない。だから深雪がパトロンを捕まえてくれたのは、俺にとっても僥倖なんだ」
「ええ? それ絶対自分に言い訳してるやつじゃないですか」
恋愛至上主義の彼女が突っ掛かっても、彼は表情を変えなかった。
「別に奈央子が疑う分には構わないさ。俺も自分が深雪のこと好きだと思い込んでた時期はあるし」
「そうなんですか!?」
思わず聞き返すと、隣に座る後輩に「だから言ったじゃないですか」と小突かれた。
「でも突き詰めて考えた結果、俺にとって問題なのは深雪にパートナーができたことじゃなくて、そのパートナーから疑われたり、疑われなくても嫉妬されたりして舞台が作れなくなることだった」
なるほど。男女の友情が成立するのかという議論がいつまで経っても終わらないのは、二人の間で友情が成立した後も周囲がやんや言い続けるからなのだろう。
「だったら貴博くんがウィンウィンで結婚を考えたように、いっそのこと友情結婚みたいな感覚で公私共々相棒になれるか考えてみたんだけど……無理だな」
「さっきから何で私、勝手にシミュレートされて勝手に振られてるんですか?」