スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
しかし言われてみれば、社長もなかなか彫りの深い整った顔立ちをしている。この顔とあのイケメンが舞台の上で見せた人懐っこい方の笑顔を照らし合わせると……ダメだ。上手く頭が働かない。
「もしかして知らずに付き合っていたのかい?」
篠目社長がくすくすと喉を鳴らす。
「君がスカウトした男は正真正銘私の息子だし、ウチの副社長だ」
「ふ、副社長……?」
前言撤回。彼の笑顔は全然、紳士的ではなかった。
社長は混乱した私を見て面白がっている。その少々性格の悪そうな微笑みは、確かに貴博さんと似ている気がした。
「それで越智さん、君は貴博のプロポーズを受けるのかい?」
「はい?」
また馬鹿みたいな返事をしてしまった。次から次へと、理解が追いつかない。
「ちょっと待ってください」
「私は待っても構わないが、断るなら早い方がいいだろう」
この人が本当に貴博さんの父親だとして――そこはもう吞み込むしかなさそうだが――あの男は自分が舞台にスカウトされたことと唐突にプロポーズめいた発言をしたことを、素直に父親に伝えるだろうか。
しかもそれで私を呼びつけたにしては、篠目社長はまるで他人事のような軽快な口調を続けている。二人揃って意味が分からない。
「もしかして知らずに付き合っていたのかい?」
篠目社長がくすくすと喉を鳴らす。
「君がスカウトした男は正真正銘私の息子だし、ウチの副社長だ」
「ふ、副社長……?」
前言撤回。彼の笑顔は全然、紳士的ではなかった。
社長は混乱した私を見て面白がっている。その少々性格の悪そうな微笑みは、確かに貴博さんと似ている気がした。
「それで越智さん、君は貴博のプロポーズを受けるのかい?」
「はい?」
また馬鹿みたいな返事をしてしまった。次から次へと、理解が追いつかない。
「ちょっと待ってください」
「私は待っても構わないが、断るなら早い方がいいだろう」
この人が本当に貴博さんの父親だとして――そこはもう吞み込むしかなさそうだが――あの男は自分が舞台にスカウトされたことと唐突にプロポーズめいた発言をしたことを、素直に父親に伝えるだろうか。
しかもそれで私を呼びつけたにしては、篠目社長はまるで他人事のような軽快な口調を続けている。二人揃って意味が分からない。