スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
「今のところ貴博と越智さんの関係を知る者は、社内にはほとんどいないからね。貴博ももう大人だし、断ったところで君が立場を悪くすることはないだろうが、いかんせんこういう話はすぐにどこからか嗅ぎつける輩がいるんだよ」
「関係って――」
とっさに、強く否定していた。
「そもそも私たち、付き合ってもいませんから!」
そして少々居心地の悪い間が生まれる。
「……あ、いえ、すみません。確かに結婚しないかとは言われたのですが、ちょっと意味が分からなかったというか、私たち本当にそういう関係ではないので」
私はいったい何を必死に弁明しているのだろうか。
自分が置かれた状況についていけないままあたふたしている私を見て、社長はむしろ納得顔で頷いていた。
「そんなことだろうと思ったよ」
「え?」
「実は私の妻が、つまりは貴博の母親が、息子に結婚してほしくて仕方なくてね。見合い話を持ってきては、息子に振られ続けてるんだ」
「お見合い……?」
不意に、記憶がよみがえる。
私が貴博さんと出会ったのは、まさにお見合い相手を振って怒らせた瞬間だったと、彼から説明されている。結婚にまるで興味のなさそうな男に縁談が舞い込むこと自体少々不思議に感じていたが、その理由を唐突に理解した。
「関係って――」
とっさに、強く否定していた。
「そもそも私たち、付き合ってもいませんから!」
そして少々居心地の悪い間が生まれる。
「……あ、いえ、すみません。確かに結婚しないかとは言われたのですが、ちょっと意味が分からなかったというか、私たち本当にそういう関係ではないので」
私はいったい何を必死に弁明しているのだろうか。
自分が置かれた状況についていけないままあたふたしている私を見て、社長はむしろ納得顔で頷いていた。
「そんなことだろうと思ったよ」
「え?」
「実は私の妻が、つまりは貴博の母親が、息子に結婚してほしくて仕方なくてね。見合い話を持ってきては、息子に振られ続けてるんだ」
「お見合い……?」
不意に、記憶がよみがえる。
私が貴博さんと出会ったのは、まさにお見合い相手を振って怒らせた瞬間だったと、彼から説明されている。結婚にまるで興味のなさそうな男に縁談が舞い込むこと自体少々不思議に感じていたが、その理由を唐突に理解した。