スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
「息子が結婚してくれるなら誰でもいいってわけじゃないでしょう。次期社長の嫁? に、相応しい人がいいんじゃないの?」
「俺の結婚相手なんだから、俺がいいと思った相手を選ぶだけだろう」
「本来は、というか恋愛結婚ならそうだろうけど」
親からの圧力で結婚を検討し、メリットデメリットで相手を選ぼうとしている貴博さんだから聞いたのだ。現に篠目社長は、私が貴博さんと結婚するとは微塵も思っていないように見えた。
「ほとんど趣味で書いていただけのアマチュア脚本家が、あなたのご両親に受け入れられるとも思えないし、私はそこで臨機応変に猫を被れるほど役者じゃないの」
「アドリブが苦手って、そういうことか」
こちらが悶々と悩んでいたことを、彼は一笑に付した。
「別にそんなこと求めてない」
「でも」
「心配するな。深雪はササメの社員でもあるんだから、身元は保証されてるようなものだろう。だからこそ親父にバレたというか、聞かれたことには正直に答えたというか」
「じゃあ、尚更会社を辞めるわけにはいかないじゃない」
「辞めるって選択肢、見えてきたようだな」
揚げ足を取った貴博さんがニヤリと笑う。
「深雪の人生を俺がとやかく言うことはできないけど、それでも俺は一番近いところで深雪の人生に投資したい」
色気なんか欠片もないくせに、思いのほか熱のこもったプロポーズだった。
「俺の結婚相手なんだから、俺がいいと思った相手を選ぶだけだろう」
「本来は、というか恋愛結婚ならそうだろうけど」
親からの圧力で結婚を検討し、メリットデメリットで相手を選ぼうとしている貴博さんだから聞いたのだ。現に篠目社長は、私が貴博さんと結婚するとは微塵も思っていないように見えた。
「ほとんど趣味で書いていただけのアマチュア脚本家が、あなたのご両親に受け入れられるとも思えないし、私はそこで臨機応変に猫を被れるほど役者じゃないの」
「アドリブが苦手って、そういうことか」
こちらが悶々と悩んでいたことを、彼は一笑に付した。
「別にそんなこと求めてない」
「でも」
「心配するな。深雪はササメの社員でもあるんだから、身元は保証されてるようなものだろう。だからこそ親父にバレたというか、聞かれたことには正直に答えたというか」
「じゃあ、尚更会社を辞めるわけにはいかないじゃない」
「辞めるって選択肢、見えてきたようだな」
揚げ足を取った貴博さんがニヤリと笑う。
「深雪の人生を俺がとやかく言うことはできないけど、それでも俺は一番近いところで深雪の人生に投資したい」
色気なんか欠片もないくせに、思いのほか熱のこもったプロポーズだった。