スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
「……その投資、失敗していつか後悔するかもしれないって分かってる?」
「俺は絶対に後悔しない。だから聞きたいのは、深雪が俺のことを、俺との結婚をどう思うかってそれだけだ」
だとすれば正直、こんなに都合のいい話もないと思う。
貴博さんは一目見ただけで舞台に立たせたくなった私好みのイケメンだ。そんな男が大企業の御曹司で、私の夢を経済的に支援したいと申し出ている。おまけに数々の縁談を蹴ってまで私と結婚したいと。
「貴博さん、実は結婚詐欺師じゃないよね?」
「あんたもう親父にも会ってるんだろう。どこの詐欺師がササメの社長をサクラとして抱き込めるんだよ」
「だよね」
どんなに都合が良くても、事実と認めるしかないだろう。
「だったらやっぱり、申し訳ないかな」
「は?」
「夢を追うことさえできなかった私のことを、貴博さんは過大評価してる」
懸命に絞り出した本音を、またしても彼は一蹴した。
「問題ない」
「え?」
「申し訳なくて尻込みするってことは、俺との結婚はやぶさかではないってことだろう」
「それは」
否定できない。できるわけがない。
けれども肯定することもできなくて、黙ったまま目の前のグラスに口を付ける。
「なら、あとは脚本家として成功してもらうだけだ」
「でも」
「俺が惚れたのは深雪の演劇に対する姿勢とか熱意とかそういうところだからさ、あんたが創作に打ち込んでいるうちは大丈夫」
「俺は絶対に後悔しない。だから聞きたいのは、深雪が俺のことを、俺との結婚をどう思うかってそれだけだ」
だとすれば正直、こんなに都合のいい話もないと思う。
貴博さんは一目見ただけで舞台に立たせたくなった私好みのイケメンだ。そんな男が大企業の御曹司で、私の夢を経済的に支援したいと申し出ている。おまけに数々の縁談を蹴ってまで私と結婚したいと。
「貴博さん、実は結婚詐欺師じゃないよね?」
「あんたもう親父にも会ってるんだろう。どこの詐欺師がササメの社長をサクラとして抱き込めるんだよ」
「だよね」
どんなに都合が良くても、事実と認めるしかないだろう。
「だったらやっぱり、申し訳ないかな」
「は?」
「夢を追うことさえできなかった私のことを、貴博さんは過大評価してる」
懸命に絞り出した本音を、またしても彼は一蹴した。
「問題ない」
「え?」
「申し訳なくて尻込みするってことは、俺との結婚はやぶさかではないってことだろう」
「それは」
否定できない。できるわけがない。
けれども肯定することもできなくて、黙ったまま目の前のグラスに口を付ける。
「なら、あとは脚本家として成功してもらうだけだ」
「でも」
「俺が惚れたのは深雪の演劇に対する姿勢とか熱意とかそういうところだからさ、あんたが創作に打ち込んでいるうちは大丈夫」