スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
彼の笑顔は、舞台の上で見たヒロのものと重なった。
「あんたが夢を諦めなければ失敗にはならない。でもって、辛いとかしんどいとか、そういう理由で深雪が舞台を投げ出す人間じゃないのは分かってる」
「そんなこと、それこそやってみないと分からないじゃない。脚本に集中した途端にプレッシャーに押し潰されて逃げ出すかもしれないじゃない」
「だな」
あっさり同意した彼の横顔を、私はまじまじと見つめてしまった。
「でも投資ならそれくらいのリスクは付き物だし、深雪なら大丈夫だと信じてる。あんたの親父さんも一切逃げ出さなかっただろう?」
「え?」
「どんなに店が傾いても結局ケーキ作るのが好きで、二十年近く続いてる。店主のオススメが開店当初からずっとシフォンケーキって、なかなかとがってるよな」
「……何で知ってるの?」
「俺も一応ササメの副社長だからな。不撓不屈のパティスリーの話は普通に興味がある」
彼が製菓会社の御曹司であることを、改めて思い出した。
「あと俺、人として脚本家として深雪に興味を持ったのは事実だけど、まるきり女として見てないわけじゃないから」
「へ?」
まっすぐに見つめ返された私は、とっさにグラスへ手を伸ばしたが、二杯目も既に空だった。おかわりを頼むと「あまり飲みすぎるなよ」と忠告されてしまう。
「ごめんなさい。私てっきり、貴博さんはそういうことに興味ないものかと」
「あんたが夢を諦めなければ失敗にはならない。でもって、辛いとかしんどいとか、そういう理由で深雪が舞台を投げ出す人間じゃないのは分かってる」
「そんなこと、それこそやってみないと分からないじゃない。脚本に集中した途端にプレッシャーに押し潰されて逃げ出すかもしれないじゃない」
「だな」
あっさり同意した彼の横顔を、私はまじまじと見つめてしまった。
「でも投資ならそれくらいのリスクは付き物だし、深雪なら大丈夫だと信じてる。あんたの親父さんも一切逃げ出さなかっただろう?」
「え?」
「どんなに店が傾いても結局ケーキ作るのが好きで、二十年近く続いてる。店主のオススメが開店当初からずっとシフォンケーキって、なかなかとがってるよな」
「……何で知ってるの?」
「俺も一応ササメの副社長だからな。不撓不屈のパティスリーの話は普通に興味がある」
彼が製菓会社の御曹司であることを、改めて思い出した。
「あと俺、人として脚本家として深雪に興味を持ったのは事実だけど、まるきり女として見てないわけじゃないから」
「へ?」
まっすぐに見つめ返された私は、とっさにグラスへ手を伸ばしたが、二杯目も既に空だった。おかわりを頼むと「あまり飲みすぎるなよ」と忠告されてしまう。
「ごめんなさい。私てっきり、貴博さんはそういうことに興味ないものかと」