スカウトしたはずのイケメン御曹司からプロポーズされました
「興味のない女にキスなんかしないっての」
「だってあれは――」
「演技じゃないって、言ったろ?」
貴博さんは再度こちらへ軽く身体を開き、私の目を見て告げた。
「俺、あんたのこと好きなんだと思う」
先程と同じ言葉がまるで違う意味に響く。それでも断定してこないところが、恋愛下手な貴博さんらしかった。
「ダメです」
「え?」
「だって、私の方が」
きっととうに好きだった。
けれども、こんな男に惚れたら泥沼だと自分の気持ちから目を逸らしていた。
「……貴博さん、例えばですよ」
「うん?」
「結婚したら……その、私を抱けますか?」
一瞬呆気に取られた顔をして、彼はニッコリと微笑んだ。
「そんなの、今からだって抱けるけど」
そのニッコリは、すぐにニヤリへと様相を変える。
「深雪の方こそ意外だな。俺とそういうことしたかったのか」
「いや、そういう意味じゃ」
また困ってグラスに手を伸ばすと、貴博さんが制止する。
「抱けるかって問いは、抱いてほしいことが大前提だ。違うか?」
俯いた私の耳元で彼がささやく。途端にぶわっと身体が熱を帯びた。
違う、この火照りはアルコールのせいであって――。
「深雪」
「……」
「こっち向いて」
僅かに顔を持ち上げると、貴博さんと目が合った。私が惚れ込んだイケメンが、まっすぐにこちらを見つめている。
「部屋、行く?」
私はコクリと頷いていた。
「だってあれは――」
「演技じゃないって、言ったろ?」
貴博さんは再度こちらへ軽く身体を開き、私の目を見て告げた。
「俺、あんたのこと好きなんだと思う」
先程と同じ言葉がまるで違う意味に響く。それでも断定してこないところが、恋愛下手な貴博さんらしかった。
「ダメです」
「え?」
「だって、私の方が」
きっととうに好きだった。
けれども、こんな男に惚れたら泥沼だと自分の気持ちから目を逸らしていた。
「……貴博さん、例えばですよ」
「うん?」
「結婚したら……その、私を抱けますか?」
一瞬呆気に取られた顔をして、彼はニッコリと微笑んだ。
「そんなの、今からだって抱けるけど」
そのニッコリは、すぐにニヤリへと様相を変える。
「深雪の方こそ意外だな。俺とそういうことしたかったのか」
「いや、そういう意味じゃ」
また困ってグラスに手を伸ばすと、貴博さんが制止する。
「抱けるかって問いは、抱いてほしいことが大前提だ。違うか?」
俯いた私の耳元で彼がささやく。途端にぶわっと身体が熱を帯びた。
違う、この火照りはアルコールのせいであって――。
「深雪」
「……」
「こっち向いて」
僅かに顔を持ち上げると、貴博さんと目が合った。私が惚れ込んだイケメンが、まっすぐにこちらを見つめている。
「部屋、行く?」
私はコクリと頷いていた。