狐火の家のメイドさん 〜主人に溺愛されてる火傷だらけの侍女は、色々あって身一つで追い出されちゃいました。
7 老婦人の屋敷での奉公
小ぢんまりとしてはいるものの、立派なお屋敷の中、さぎりは廊下の雑巾がけに勤しんでいた。
「ほら、行くわよ、子狐ちゃん」
「きゅん!」
雑巾を構えたさぎりのとなりには、今にも走り出そうとしている子狐。
さぎりが勢いよく動き出し、とたとたと雑巾をかけると、子狐も一緒に走り出し、自慢の足でさぎりを追い抜いて廊下の先にたどり着いた。
「やっぱり速いわ、子狐ちゃん」
「くぅーん!」
「流石ねぇ。全然敵わないもの」
「きゅんくぅーん!」
手足をそろえ、胸を張り、正にお狐様といった風情で満足そうにしている子狐に、さぎりはくすくす笑ってしまう。