狐火の家のメイドさん 〜主人に溺愛されてる火傷だらけの侍女は、色々あって身一つで追い出されちゃいました。
仰天する崇史に追い討ちをかけたのは、もう一通の手紙だ。
『のんちゃんの叔父君へ
大切な人なら、いざという時の避難場所くらい用意してあげなさい。仕事もなく行きだおれるところでしたよ。
二人とも良い子ですね。私が貰っちゃおうかしら。
御影』
どういう経緯になったら、この手紙が同じ封筒で届くのだ。いや、家を出たっていうのはそもそもなんだ。行き倒れとは? 律次が何かしたのか?
崇史は焦り、そして怒った。
崇史と二人の距離を阻むものに、憤った。
鬼神の如き勢いで妖怪を倒し、唖然とする龍美家と音梨家の戦士達を置いて、早馬で帝都への道を駆ける。
金に任せて何度も馬を変え、一週間で帝都に辿り着き、急いで御影の家へと乗り込んだ。
「御影様!」