狐火の家のメイドさん 〜主人に溺愛されてる火傷だらけの侍女は、色々あって身一つで追い出されちゃいました。
―✿―✿―✿―
実はあれから、御影が龍美家に命じて、さぎりと希海の傷跡を全て直してくれたのだ。
全てというのは、さぎりの火傷痕のことも含まれていた。
失神し、意識を失っていたさぎりは、御影家で目を覚ました後、鏡を見て驚いた。
鏡の中には、四年前と同様に、なんの傷跡もない自分が居たのである。
さぎりの傷痕が消えたことを、崇史は心から喜んでくれた。
意外だったのは、希海である。
「さぎり、治った? 傷、全部、治った?」
「はい。大丈夫ですよ、希海様」
「もうお宿に泊まれる? お仕事もある?」
泣きながらそう言う希海に、さぎりは、火傷痕によって拒絶されたことで傷ついたのは、自分だけではなかったことを知った。
「もう大丈夫」と言いながら、さぎりは嬉し泣きしている希海を、しっかりと抱きしめた。