花言葉〜青い春〜


「てかさー、両方とも神谷だからややこしいんだよね。」


不審な顔を浮かべて固まる菫など御構いなしに、成海は一人で話しかけてくる。


「クラスではなんて呼ばれているの?」

「菫か……委員長が多い。」

「委員長!?……まあ呼びやすいもんねぇ。でもそれじゃ俺も委員長だしなぁ。」


知るかいな!!先生、早く帰ってきてよ!!


「じゃあ、すーちゃんだね。菫じゃ馴れ馴れしすぎるし。」

「えっ?すーちゃん?……いや、待って!」


すーちゃん!?それも十分馴れ馴れしすぎるでしょ!


「あのさ、私は神谷でいいです。だから、桜の方を桜ちゃんとかさーちゃんとか呼んであげてください。」

「あはは…なんで敬語?タメなのに。」


おーい!人の話を聞いているかい?今、呼び名の話をしたんだけど。


「神谷は神谷だよ。俺、中学の塾の時から一緒だから、今さら呼び名を変えるのも気持ち悪るいし。」


桜とは前から塾で知り合いだったのか……。


人見知りをしやすい桜が入学1ヶ月で成海に親しみをもっていたのは、そのせいだろう。
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