花言葉〜青い春〜
放課後に部活に行く前に、菫は校舎の最上階、4階にある英語準備室に寄った。なんとなく伊勢谷にお礼を言いたかった。


英語担当の伊勢谷は、放課後は職員室よりは英語準備室にいることが多かった。


英語教師の控え室になっていて、ここで英語教師同士で授業の打ち合わせをしたり、テストを作ったりするのだ。


菫がノックをするとすぐに


「はーい。」


と伊勢谷のいつも通りの緩い返答があった。


「先生!」

「おお、委員長。」


菫がドアを細く開けて中を覗くと、部屋には伊勢谷しかいなかった。


本当はありがとうだけ言うつもりもだったのだが、菫は思わず


「入っていい?」


と尋ねていた。


「どうぞ。」


伊勢谷は左手の人差し指と中指の間に煙草を挟んでいたが、菫が入ってくると同時に灰皿に押しつぶした。
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