花言葉〜青い春〜
コンコンというノックの音で、菫は我に返り、慌てて伊勢谷から距離をとった。


「どうぞー。」


伊勢谷の返事は、菫がこの部屋を訪れたときと同じ、緩いどこか気怠い声色だ。


「あー、1年3組の宮田ですけど……」


開いたドアと入ってきた男に、菫はコマ付きの椅子をさらに引いて、伊勢谷から距離をとった。


「なんだ伊勢谷ちゃんだけじゃん……てか、何してんのすーちゃん?」

「すーちゃん!?」


先に反応したのは伊勢谷で、宮田と菫を交互に見やった。


「お前ら仲良しなんだねー。」

「仲良しじゃありません!」


ニヤッと笑う伊勢谷に、菫は思わず噛み付いた。


伊勢谷が自分と成海のことを、口で言う程気にしていないことに、菫は胸のあたりをガリっと爪で引っ掻かれたような気持ちになる。
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