花言葉〜青い春〜
菫は鞄からスポーツタオルを取り出して、成海の頭にかぶせた。


「あんた、こんなところで何やってるの!?制服、こんなに濡らして着替えないんでしょう?」


日頃から面倒見の良すぎる菫の癖だった。どうしようもない人がいると放って置けない。


「あー、すーちゃん……つい楽しくて……」


タオルの隙間から見える成海の表情は、悪戯っ子のようで、いつもより幼さが垣間見えた。


「なになに?成海君の彼女さん?」


冷やかすようなサッカー部の上級生の声に、やってしまったと菫は後悔したが、時すでに遅し。たくさんの視線が二人に注がれていた。


「違います!」


菫は力の限り全否定して、成海の腕をつかんだ。


「行くよ!」

「待って。着替えある。この格好じゃ、すーちゃんとご飯行けないから。」

「着替えあるの?」


それなら早く言ってよ……てかご飯行かなくてもいいんだけど……


「成海、ほらよ。」


サッカー部の部室から猛がグレーのパーカーを持ってきた。


「サーンキュ。」


パーカーをもらった途端、成海はその場で濡れたカッターシャツを脱ぎ出したものだから


「ギャッ!!」


菫は軽く悲鳴をあげて、成海の腕を離して、慌てて背面を向いた。


なんで男の子ってこうなんだろう。意味不明過ぎて理解できない。
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