花言葉〜青い春〜
店内の角のL字形の席に机の角を挟んで座り、メニューを広げた。
時刻は午後6時半。部活を終えた菫はちょうどお腹が空いている時間だった。
「何食べる?オススメはね、チーズインハンバーグ。」
成海は菫によく見えるように、メニューを広げてくれて、菫が次のページをめくるまで待ってくれている。
そういう気遣いのできる人なのだと、菫はほんの少し成海を見直した。
「オススメっていうなら、チーズインハンバーグにする。」
「了解ー。」
菫がメニューを決めると、成海は素早く従業員を呼び、チーズインハンバーグを注文した。
「めずらしいね。成海君が学校の子を連れてくるなんて。」
注文をとりにきた従業員は、大学生ぐらいの男の人だった。彼女?と言いたげな目で菫を見ている。
「うーん、今日は特別。あ、でも彼女とかじゃないよ。」
また否定しないとダメかと菫は思っていたが、先に成海が否定した。
「そっか。まぁごゆっくり。」
従業員もそれ以上深入りすることはなく、水とお手拭きを置いて立ち去った。