花言葉〜青い春〜

店内の角のL字形の席に机の角を挟んで座り、メニューを広げた。


時刻は午後6時半。部活を終えた菫はちょうどお腹が空いている時間だった。


「何食べる?オススメはね、チーズインハンバーグ。」


成海は菫によく見えるように、メニューを広げてくれて、菫が次のページをめくるまで待ってくれている。


そういう気遣いのできる人なのだと、菫はほんの少し成海を見直した。


「オススメっていうなら、チーズインハンバーグにする。」

「了解ー。」


菫がメニューを決めると、成海は素早く従業員を呼び、チーズインハンバーグを注文した。


「めずらしいね。成海君が学校の子を連れてくるなんて。」


注文をとりにきた従業員は、大学生ぐらいの男の人だった。彼女?と言いたげな目で菫を見ている。


「うーん、今日は特別。あ、でも彼女とかじゃないよ。」


また否定しないとダメかと菫は思っていたが、先に成海が否定した。


「そっか。まぁごゆっくり。」


従業員もそれ以上深入りすることはなく、水とお手拭きを置いて立ち去った。
< 48 / 77 >

この作品をシェア

pagetop