花言葉〜青い春〜
「俺、そんなにチャラチャラしてるように見える?」
「見える。」
菫は初めて出会ったときに、成海が先輩の女の子に囲まれているのを忘れはしなかった。
「あはは。心外だなー。」
成海は笑いながら、突然すっと手を伸ばして、人差し指で菫の口の端をなぞった。
「すーちゃん、ソース付いてる。」
「そ、そういうのが!チャラチャラしてるって言うの!今日も学校で髪なでたし!」
不覚にも今も触れられた瞬間、菫はドキッとした。男の子に触られるなんて慣れてない。慣れてないから、体が必要以上に動揺する。
「あはは。すーちゃんって可愛いね。」
「なっ……バカじゃない!私は可愛くなんかありません!可愛いのは桜の方!」
菫の言葉に成海は急に真顔になり、ハンバーグに刺すフォークの手を止めた。
「比べんなよ。すーちゃんはすーちゃんだよ。」
「……分かってるわよ、そんなこと。」
嘘だった。
菫は成海から視線をそらし、ナプキンで口元を拭った。可愛いなんて桜にしか向けられない言葉だと思っていたのに。