花言葉〜青い春〜



[土曜のデート、水族館でいい?]


桜の彼氏からだった。


桜の彼氏、島崎直輝(シマザキ ナオキ)は、現在大学2年生で、桜が友達と遊びに行った帰り、一人で駅にいるときに、声をかけられた。


まだ新しい制服が着慣れない4月の半ばのことだった。


「君、めっちゃ可愛くない?」


と。要はナンパというわけだ。


桜は最初は無視していたのだが、あまりにもしつこく声をかけ続けるものだから、ついに根負けしてお茶を飲みに行った。


そのときに話が合い、直輝が自分を信じてもらうためと、学生証と免許証まで見せてくれて、連絡先を交換して、その1週間後に付き合った。


直輝は優しいし、桜の知らない大学の話を面白おかしく教えてくれるしで、桜にとっては大人な彼氏だった。


でも、菫は気に食わないようで、桜は少し寂しく感じていた。


それから……


[その日は泊まれそう?]


直輝のメッセージに桜は返信を考えあぐねていた。


直輝は大学近くのアパートに一人暮らしをしていた。大学生ならお泊まりしてエッチしてっていうのも、桜は理解はしているつもりだった。


だけど、まだ自分にはその勇気がない。


直輝とキスはしたけど、舌も入れられたけど、それもちょっと抵抗があった。


なのに、その先なんて……


誰かに相談したい。菫ちゃんにはできない。


学校の子に相談しても「やっちゃえ!やっちゃえ!」「年上の彼氏なんていいじゃん。」で終わる。


誰にも言えない……。
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