花言葉〜青い春〜
「桜ちゃんと菫ちゃんって似ていないんだね。」


聞き飽きたその言葉に、菫はうんざりして、適当に相槌を打った。


「菫ちゃんって、物言いがキツイし、見た目も可愛いキャラではないよね。」


うるさいって叫びたかったが、桜の彼氏ということもあり、菫はまだ思い留まっていた。


「もっと可愛かったら俺の友達に紹介したのに。」

「……」


もう黙っていられない。


菫はぐっと桜の彼氏の右腕をつかんでいた。


「そんなことこっちから願い下げ。」

「ほら、そういところがさー、可愛くないってかさー。」


男はけたけたと笑って、菫のことを適当にあしらっているようだった。


菫はさらにつかんだ腕の力を強めた。張り倒したい気持ちだったけど、外での悪目立ちはさすがにできない。


「可愛いなんて思ってもらえなくていい。これ以上、あんたといたら、不快感しか残らないから、私は帰るけど、これから先、桜を泣かしたりしたら許さないからね。」


本当はもっと思いの丈をぶちまけたかったけど、菫は何とか呑み込んで、男に自分と桜の食べた分のお金を押し付けて、家路に向かった。
< 8 / 77 >

この作品をシェア

pagetop