完全包囲 御曹司の秘めた恋心
誕生日
二人を見送り、私は再度ラウンジのソファーに腰掛けた。腕時計で時刻を確認する。
もうすぐ16時か……
母からはそのままそこに残れと言われたままだ。
そういえば、ゲイル・ベアーさんは私の顔を知っているのだろうか? 私は知らないので、異国の雰囲気を纏った人を探すしかない。
大丈夫なの?このお見合い。
そんなことを考えていると、エントランスの方が俄かに騒つきはじめた。
何事かと視線を移すと、一人の男性が、周囲の視線を独占している。
ダークネイビーの三揃いスーツを完璧に着こなし、バックに流した茶系の髪が端正な顔立ちを引き立たせている。それに、上背もあり恐ろしいほどスタイルが良い。八頭身?
ホテルのロビーがランウェイに見える。
思わず見惚れてしまった。
いけないいけない、私はゲイルさんを探さなきゃ。あの人はどう見ても日本人だ。
男性から視線を外し辺りを見回すも、それらしき人物は見当たらない。
それよりも、八頭身の男性が段々こちらに近づいて来る。
「え……」
彼は私の目の前でピタリと立ち止まった。
「こんにちは、花村環奈さん」
爽やかな笑顔を向けられ呆気に取られた。
きっと、私は今、とてもだらしない顔をしている。
「環奈さん?」
「えっ! あ、はい、花村環奈です。私は花村環奈ですが、何かご用でしょうか?」
彼はプッと吹き出すと、先ほどよりも一層爽やかな笑顔を向けた。
「今日は僕とお見合いのはずですが?」
「え⁉︎」
「改めまして、こんにちは、ゲイル・ベアーです」
「あ、あのぅ、異国の方……」
「生まれも育ちも日本です」
「はぁ……」
もうすぐ16時か……
母からはそのままそこに残れと言われたままだ。
そういえば、ゲイル・ベアーさんは私の顔を知っているのだろうか? 私は知らないので、異国の雰囲気を纏った人を探すしかない。
大丈夫なの?このお見合い。
そんなことを考えていると、エントランスの方が俄かに騒つきはじめた。
何事かと視線を移すと、一人の男性が、周囲の視線を独占している。
ダークネイビーの三揃いスーツを完璧に着こなし、バックに流した茶系の髪が端正な顔立ちを引き立たせている。それに、上背もあり恐ろしいほどスタイルが良い。八頭身?
ホテルのロビーがランウェイに見える。
思わず見惚れてしまった。
いけないいけない、私はゲイルさんを探さなきゃ。あの人はどう見ても日本人だ。
男性から視線を外し辺りを見回すも、それらしき人物は見当たらない。
それよりも、八頭身の男性が段々こちらに近づいて来る。
「え……」
彼は私の目の前でピタリと立ち止まった。
「こんにちは、花村環奈さん」
爽やかな笑顔を向けられ呆気に取られた。
きっと、私は今、とてもだらしない顔をしている。
「環奈さん?」
「えっ! あ、はい、花村環奈です。私は花村環奈ですが、何かご用でしょうか?」
彼はプッと吹き出すと、先ほどよりも一層爽やかな笑顔を向けた。
「今日は僕とお見合いのはずですが?」
「え⁉︎」
「改めまして、こんにちは、ゲイル・ベアーです」
「あ、あのぅ、異国の方……」
「生まれも育ちも日本です」
「はぁ……」