完全包囲 御曹司の秘めた恋心
熊野御堂家と花村家の顔合わせのスケジュールは、熊野御堂主導のもと、桜子の婚約パーティーの裏で着々と進んでいた。

花村家には、俺との婚約を前提に、環奈との顔合わせを希望しているのだと、親父が直接出向いて挨拶をした。
まだ中学一年の娘には荷が重いと断られそうになったようだが、そこは時期総帥。一歩も引かず納得してもらったようだ。
ただ、本人には顔合わせの時まで黙っておくことが条件だった。
なるべく自然な形でプレッシャーをかけたくないという理由だ。
大切な娘のことを想えば当然のことだと思う。


とうとうやってきたパーティー当日。
環奈は桃香のアパートに滞在し、熊野御堂家の用意した車で会場に来ることになっている。 
そして両親は、環奈を見送った後、夕方の便で東京にやって来た。パーティー会場にもなっているホテルに滞在してもらっている。

いよいよ待ちに待った環奈との対面だ。
気持ちが高揚する。

来た!

桃香の背に隠れるようにやって来た環奈。

桃香に促され、彼女が姿を現した瞬間、俺は息を呑んだ。
俺の目の前に佇む姿は、まさしく光り輝く一等星。

将来俺は彼女と結婚する。

直感だった。
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