完全包囲 御曹司の秘めた恋心
パーティーが終わり、環奈が警察に保護されていたことを知らされた。
両親が迎えに行き、桃香は自宅で待つよう祖父が秘書に段取るよう伝えたのだ。
結局その日の顔合わせはなくなった。
俺は、その時の環奈の状況を知る由もなく、見合いは日を改めて行われるだろうと呑気に構えていた。
しかし……
一人ホテルに戻って来た環奈の父親から、耳を疑う言葉を聞かされた。
「このお話は、最初から無かったことにしてください」
俺は居ても立っても居られず、父親に理由を聞かせてくれと詰め寄った。
「娘は、パーティーを台無しにしてしまった。桃香の立場も悪くしてしまった。全部自分のせいだ。ごめんなさい、ごめんなさい。泣きながらずっと謝り続けています。桃香が大丈夫だ、環奈は何も悪くない。何度言い聞かせても聞く耳を持たないんです。私はあんな娘の姿を初めて目にしました。パーティーに参加することが決まった日から、失敗してはいけない。桃香に迷惑をかけてはいけない。その一心で妻との特訓も頑張ってやって来ました。どうやら、13歳の娘には荷が重すぎたようです。父親として、もうこれ以上、娘に負担をかけたくありません。勝手な言い分で申し訳ありません」
それでも俺は納得できなかった。あの騒動は、あの令嬢連中に100%非があることは調べがついている。環奈は何も悪くないのだ。
「俺は納得できません!環奈さんを説得させてもらえませんか?」
父親はゆっくりとかぶりを振った。
「どうしてですか?」
「……笑われたと」
「笑われた?」
「誰にですか?」
「それは……」
「花村さん、はっきりおっしゃってはいただけませんか?」
親父が語りかけるように問いかけた。
両親が迎えに行き、桃香は自宅で待つよう祖父が秘書に段取るよう伝えたのだ。
結局その日の顔合わせはなくなった。
俺は、その時の環奈の状況を知る由もなく、見合いは日を改めて行われるだろうと呑気に構えていた。
しかし……
一人ホテルに戻って来た環奈の父親から、耳を疑う言葉を聞かされた。
「このお話は、最初から無かったことにしてください」
俺は居ても立っても居られず、父親に理由を聞かせてくれと詰め寄った。
「娘は、パーティーを台無しにしてしまった。桃香の立場も悪くしてしまった。全部自分のせいだ。ごめんなさい、ごめんなさい。泣きながらずっと謝り続けています。桃香が大丈夫だ、環奈は何も悪くない。何度言い聞かせても聞く耳を持たないんです。私はあんな娘の姿を初めて目にしました。パーティーに参加することが決まった日から、失敗してはいけない。桃香に迷惑をかけてはいけない。その一心で妻との特訓も頑張ってやって来ました。どうやら、13歳の娘には荷が重すぎたようです。父親として、もうこれ以上、娘に負担をかけたくありません。勝手な言い分で申し訳ありません」
それでも俺は納得できなかった。あの騒動は、あの令嬢連中に100%非があることは調べがついている。環奈は何も悪くないのだ。
「俺は納得できません!環奈さんを説得させてもらえませんか?」
父親はゆっくりとかぶりを振った。
「どうしてですか?」
「……笑われたと」
「笑われた?」
「誰にですか?」
「それは……」
「花村さん、はっきりおっしゃってはいただけませんか?」
親父が語りかけるように問いかけた。