完全包囲 御曹司の秘めた恋心

決戦は誕生日

そして、環奈27歳の誕生日がやって来た。

会社の規定で環奈は休みだと決まっている。
そこに合わせ、桐山が環奈と休みを合わせるよう美紗都を誘導した。自分たちの結婚報告を誕生日プレゼントにしようと言ったそうだ。良いアイデアだと褒められたらしい。

そして、環奈の両親にも計画を話し、協力してもらうことにした。母親はノリノリで女優になりきると言っていた。

《ゲイル・ベアー》環奈の見合い相手。
環奈は母親からそう聞いているはずだ。

15:50 ホテルに到着した俺は、セダンの後部座席から、環奈に会っている桐山にメールを送る。

『着いた』

すぐに返信が届く。

『了解。ごちそうさま』

彼らの飲食代は、全て俺名義で支払うよう事前に手配していた。もちろん環奈の分も。


しばらくすると、エントランスから桐山が美紗都と共に出てくる姿が見えた。俺が後部座席の窓を開けると、桐山が目で合図を送った。俺は頷き、桐山の後ろ姿が見えなくなったことを確認し、運転手に声をかけた。

「すぐに戻る」

「かしこまりました。こちらでお待ちしています」

「ありがとう、頼んだ」

心臓が激しく暴れ出す。

落ち着け俺

呼吸を整え、車を降りるとエントランスへ向かった。意を決して、足を踏み入れる。
もう一度呼吸を整え、環奈が待つラウンジ目指して大きく足を踏み出した。
< 46 / 53 >

この作品をシェア

pagetop