最後の花火
暑いせいか、胡瓜はあっという間になくなってしまった。お腹はまだ空いている。私と夏希はそれぞれ食べたいものを買いに行くことにした。
「私、たこ焼き買ってくるわ」
私がそう言うと、焼きそばの屋台に並んで夏希が「たこ焼き、買ってきたら一個ほしい」と言った。その目は少しだけ寂しそうに見える。
「たこって日本じゃ普通に食べられるけど、海外のほとんどの国ではゲテモノ扱いで食えねぇらしい。オーストラリアじゃ口にできないだろうから」
「……わかった。好きなだけ食べてよ」
私は強く拳を握り締めて、いつも通りを心がけて笑う。今隣にいる夏希がいなくなる。それは抗うことのできない運命だとわかっていても、ただ悲しい。
夏希は、九月になったらすぐにオーストラリアに行ってしまう。夏希のお父さんがオーストラリアにある支店に異動が決まり、家族全員で引っ越すごとになったんだ。夏希が日本に帰って来られるのは、最低でも二年後。二年も好きな人と会えなくなるなんて……。
「私、たこ焼き買ってくるわ」
私がそう言うと、焼きそばの屋台に並んで夏希が「たこ焼き、買ってきたら一個ほしい」と言った。その目は少しだけ寂しそうに見える。
「たこって日本じゃ普通に食べられるけど、海外のほとんどの国ではゲテモノ扱いで食えねぇらしい。オーストラリアじゃ口にできないだろうから」
「……わかった。好きなだけ食べてよ」
私は強く拳を握り締めて、いつも通りを心がけて笑う。今隣にいる夏希がいなくなる。それは抗うことのできない運命だとわかっていても、ただ悲しい。
夏希は、九月になったらすぐにオーストラリアに行ってしまう。夏希のお父さんがオーストラリアにある支店に異動が決まり、家族全員で引っ越すごとになったんだ。夏希が日本に帰って来られるのは、最低でも二年後。二年も好きな人と会えなくなるなんて……。