最後の花火
「ねぇ、射的しようよ!大きい景品を取れた方が勝ち!負けた人は勝った人にアメリカンドッグを奢る。どう?」

私の提案に夏希は「いいぜ。絶対に負けないからな!」と張り切り、二人で射的へと並ぶ。夏希の横顔は、まるで幼い子どものように無邪気だった。

胸の奥が、まるで砂漠みたいに熱くなった。



射的をしたり、ヨーヨーをしたり、フライドポテトなどを食べているうちに、すっかり時間は流れていって、「もうすぐ花火の打ち上げを始めます」とアナウンスが鳴り響いた。

「おっ、いよいよか!」

「楽しみだね!」

私たちだけじゃなくて、周りにいる人たち全員が漆黒に染まった夜空を見上げる。空を見上げて数秒後、一瞬にして目の前にある世界が色とりどりの光に染まった。

(綺麗……)

美しい花が夜に咲いて、あっという間に消えていく。でもその儚さに浸る暇もなく、次々と花火が打ち上げられていく。だから、心の中では「綺麗」としか呟くことができない。
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