キミノート。
「……」



その人は何も言わず振り返った。

びっくりさせちゃったかな…



少し不安になりながらも、不安に負けないように言葉を続ける。







「あのっ朝はありがとうございました!」



そういい、私はお辞儀をした。






「…あぁ、お前、あのときのか!全然いーよ。どーいたしまして。わざわざお礼いいにきてくれてありがとな」



その人は、振り返ったときと正反対の顔で、また笑ってくれた。



よ、良かったぁ……



「誰だっけとか言われるかと思ってたけど、わかってくれて良かったぁ…」



「へ?」



「あ!!」




本当に安心したせいか、私は思ったことをそのまま口に出していた。




「い、今のは気にしないで!?」


私は慌てて弁解する。





「…ぷはっお前、ほんと面白いやつだよな。遅刻もするし変だし!!」




「う、うるさいッ!!」





本当におかしそうに笑うその人を見て、私はなんだか嬉しかった。




「…あ、じゃあ俺こっち曲がるから」



「え…あ、うん、じゃあね」




楽しい時間は短く感じる。


それは本当なんだと思った。











「ん、じゃーな!





“小原さん”」













そういい残し、その人は走っていった。










「い、今……なんて……」


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