カバーアップ
「桜井はよく食べるね」
「そう、ですか……?」
私は食べるのが好きなのだ。
我慢するくらいならその分、運動する主義だったりする。
「うん。
桜井を見ていたら、満智を思い出すな……」
そこにいない彼女を見ているかのごとく、眼鏡の奥で課長の目がうっとりと細くなる。
満智とは彼の、奥様のことだ。
「そう、ですか」
「うん」
彼は嬉しそうに頷いたが、私は複雑な心境だった。
課長の奥様は一年前に病気で亡くなり、ほんの少し前に一周忌が終わったところだ。
しかし彼はまだ奥様が忘れられないらしく、その左手薬指には結婚指環が光っている。
メインの肉盛り合わせを食べおわり、ほどよくお腹も満たされる。
「私はデザートを取ろうと思いますけど、菅野課長はどうします?」
「そーだねー」
私が開いたメニューを、課長も一緒になってのぞき込む。
「あ、パフェがあるんだ、ここ」
デザートメニューのページには美味しそうなパフェが四種類ほど、並んでいた。
もしかして奥様がパフェが好きだったとか言うのかと思ったものの。
「……あの、さ」
言いにくそうに課長が上目遣いで私をうかがう。
「そう、ですか……?」
私は食べるのが好きなのだ。
我慢するくらいならその分、運動する主義だったりする。
「うん。
桜井を見ていたら、満智を思い出すな……」
そこにいない彼女を見ているかのごとく、眼鏡の奥で課長の目がうっとりと細くなる。
満智とは彼の、奥様のことだ。
「そう、ですか」
「うん」
彼は嬉しそうに頷いたが、私は複雑な心境だった。
課長の奥様は一年前に病気で亡くなり、ほんの少し前に一周忌が終わったところだ。
しかし彼はまだ奥様が忘れられないらしく、その左手薬指には結婚指環が光っている。
メインの肉盛り合わせを食べおわり、ほどよくお腹も満たされる。
「私はデザートを取ろうと思いますけど、菅野課長はどうします?」
「そーだねー」
私が開いたメニューを、課長も一緒になってのぞき込む。
「あ、パフェがあるんだ、ここ」
デザートメニューのページには美味しそうなパフェが四種類ほど、並んでいた。
もしかして奥様がパフェが好きだったとか言うのかと思ったものの。
「……あの、さ」
言いにくそうに課長が上目遣いで私をうかがう。