特効薬と副作用
「希ちゃん、頭痛いの?」
「え?」
透視能力でもあるのかと驚いたが、自分が無意識にこめかみにあてていた手のせいだと気付いた。
「ああ……はい」
朝は一旦治まった頭痛が、ぶり返していた。寝不足が祟っているのだろう。
「お薬飲んでもいいですか?」
希は今日二度目の頭痛薬の服用に気が咎め、そんなことを知るはずもない徹に、了承を得るかのように尋ねた。
「あ、それならちょっと待って」
徹はジャケットの内ポケットを探りながら言った。
「これ飲むといいよ。空腹で飲んでも胃に負担をかけないし、効き目も早いんだ。うちの会社で扱ってる頭痛薬なんだけど、飲みやすいように改良されたものを少し分けてもらったんだ。近々病院でも処方されるようになるはずだよ」
自社製品に自信を持っているのだろう。徹は少し得意げな表情でピルケースを見せる。
「へえ。製薬会社に勤める社員の特権ですねえ」
「まあね。子供からお年寄りまで飲みやすいように、超小粒に改良されたんだ」
そう言いながら徹が開けたピルケースを覗くと、中には爪楊枝の頭ほどの小粒の薬が入っていた。
「わあ、ほんとだ、凄く小さい。これなら飲みやすいですね」
希は子供の頃に食べた駄菓子を思い出した。それは確か、紅色で梅味だった気がする。この薬もピンクやブルーなどもっとカラフルだったら、子供も嫌がらずに飲むかもしれないな、と、ついそんなことを考えてしまうのは、職業病かもしれない。
「え?」
透視能力でもあるのかと驚いたが、自分が無意識にこめかみにあてていた手のせいだと気付いた。
「ああ……はい」
朝は一旦治まった頭痛が、ぶり返していた。寝不足が祟っているのだろう。
「お薬飲んでもいいですか?」
希は今日二度目の頭痛薬の服用に気が咎め、そんなことを知るはずもない徹に、了承を得るかのように尋ねた。
「あ、それならちょっと待って」
徹はジャケットの内ポケットを探りながら言った。
「これ飲むといいよ。空腹で飲んでも胃に負担をかけないし、効き目も早いんだ。うちの会社で扱ってる頭痛薬なんだけど、飲みやすいように改良されたものを少し分けてもらったんだ。近々病院でも処方されるようになるはずだよ」
自社製品に自信を持っているのだろう。徹は少し得意げな表情でピルケースを見せる。
「へえ。製薬会社に勤める社員の特権ですねえ」
「まあね。子供からお年寄りまで飲みやすいように、超小粒に改良されたんだ」
そう言いながら徹が開けたピルケースを覗くと、中には爪楊枝の頭ほどの小粒の薬が入っていた。
「わあ、ほんとだ、凄く小さい。これなら飲みやすいですね」
希は子供の頃に食べた駄菓子を思い出した。それは確か、紅色で梅味だった気がする。この薬もピンクやブルーなどもっとカラフルだったら、子供も嫌がらずに飲むかもしれないな、と、ついそんなことを考えてしまうのは、職業病かもしれない。